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山口 正秋; 鈴木 祐二*; 樺沢 さつき; 加藤 智子
JAEA-Data/Code 2024-001, 21 Pages, 2024/03
高レベル放射性廃棄物地層処分の生活圏評価において、地形や水系、土地利用等の具体的な表層環境条件を考慮できる評価手法の検討に資することを目的として、モデル集水域を作成した。ここでは、地形の特徴の異なる3種類のモデル集水域(Type13、流域面積:約730770km)を作成した。Type13の各モデル集水域は、既存のツール(地形・処分場深度変遷解析ツール)を用いて作成した集水域の地形データ(標高、陰影)と、地形データから作成した土地被覆データ(傾斜、水系・集水域、土地利用、人口分布)、および地形データと土地被覆データを用いて計算した河川流量・土砂移動データの地理情報からなる。本報告書では、これらの地理情報を地理情報システム(GIS)ソフトウェアなどで利用可能なデータ集としてとりまとめた。作成したモデル集水域は、わが国の表層環境の主要な特徴を可能な限り反映して仮想的に作成したものであることから、地形はもとよりさまざまな環境条件をパラメータとしたGBIやコンパートメントモデルの設定に係る水理・物質移行解析等を試行するテストベッドとして活用することが可能である。
上野 哲朗; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2015-032, 30 Pages, 2016/03
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、広域地下水流動研究の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量の水収支解析による算出、水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータの取得を目的として、表層水理観測を実施している。観測項目は降水量および河川流量であり、柄石川と日吉川を観測流域としている。本報告では、2014年度の表層水理観測で得られた降水量、河川流量について、データの欠測や異常値に対して補正・補完を行いデータセットとして取りまとめた。この表層水理観測は相当量のデータが蓄積されたため2014年度末を以て終了した。
上野 哲朗; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2015-031, 61 Pages, 2016/03
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、超深地層研究所計画の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量の水収支解析による算出、水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータの取得および研究坑道掘削に伴う浅層の地下水環境の変化の把握を目的として、表層水理観測を実施している。この表層水理観測では、蒸発散量算出のための気象要素, 降水量, 河川流量, 地下水位および土壌水分の観測を、正馬川流域, 正馬川モデル流域および瑞浪超深地層研究所用地で実施している。本データ集は、2014年度の表層水理観測で得られたデータについて、欠測や異常値の補正・補完を行ってデータセットとして取りまとめた。また、研究坑道掘削工事における周辺環境モニタリングの一環で取得されている狭間川の河川流量データを用いて、同流域の岩盤浸透量も算出した。この表層水理観測は、相当量のデータが蓄積されたため2014年度末を以て終了した。
小松 輝久; 稲垣 紫緒*; 中川 尚子*; 那須野 悟*
Physical Review Letters, 86(9), p.1757 - 1760, 2001/02
被引用回数:251 パーセンタイル:97.47(Physics, Multidisciplinary)粉体集団は通常の流体や固体とは異なった振る舞いをする。例えば、「なだれ」などはその例である。この現象は普通、動かない固体層のうえに流れる流体層があるという描像で認識されてきたが、この描像の真偽を実際に詳しく調べることは、粉体集団の振舞を理解するひとつの鍵になると期待される。われわれは、表層なだれ流が定常的に流れている粉体積層を実験的に調べた。これまで表層流の下は、カッチリと固まって流れない領域が存在すると信じられてきたが、われわれは、そのような流域が存在しないという結果を得た。本論文でわれわれは、積層中の深い領域の粒子でさえ、非常にゆっくりと流れており、そのような運動が任意の深さで検出され得ることを報告する。この遅い運動の平均速度は深さの指数関数で減衰する。特徴的な減衰長は粒子サイズ程度で流量に依存していない。われわれの観測したこの遅い運動は剪断応力下にある粉体一般の性質であると思われる。
江崎 哲郎*; 神野 健二*; 三谷 泰浩*; 蒋 宇静*; 内田 雅大; 赤堀 邦晃*
JNC TY8400 2000-004, 94 Pages, 2000/03
放射性廃棄物の地層処分は、地下の構成材料である岩盤の隔離性、密閉性などを積極的に利用するものであり、その設計にあたっては安全性、経済的合理性、環境上の配慮など、従来の地下構造物と比べて格段に厳しい設計条件が要求される。そのため、岩盤においてその特性を支配する不連続面の力学・透水特性およびカップリング特性などを適切に把握する必要がある。本研究では、理想的な条件下で実験を行なうための新しいせん断透水同時試験装置の開発を行った。そして、装置の検証を兼ねて行ったせん断透水同時実験の結果、新装置は、上箱の回転による影響を定量的に評価でき、一方向流による透水試験を実施することができた。さらに、不連続面のせん断透水同時特性は、垂直応力が大きくなると上箱の回転による透水係数が著しいことを明らかにした。また不連続面の間隙幅分布を不連続面凹凸の幾何学特性とGIS(地理情報システム)によるシミュレーションによって特定する方法を提案するとともに、せん断透水同時試験のモデルを構築し、せん断透水同時特性のメカニズムを明らかにすることを目的としてシミュレーションを行った。その結果、GISによるシミュレーションの有効性を示すことができた。
遠山 茂行*; 若松 尚則; 岡崎 彦哉
JNC TJ7440 2000-019, 17 Pages, 2000/03
核燃料サイクル開発機構では、地表から地下深部までの地下水流動を把握するため、地下水流動を規制する地質構造、水理地質学的研究を実施している。この研究の一環として、地下水流動を規制する地質構造、水理地質学的研究を実施している。この研究の一環として、地下水、気象、河川流量および土壌水分の観測(表層水理定数観測)を継続して行っている。現在まで、ICカード等を記録媒体とするデータ収録装置を使って、半自動観測を行っているが、今後、計画されている研究坑道掘削の影響調査においては、より迅速な観測結果の把握と評価が求められる。本業務では、表層における地下水流動特性の変化を随時観測するために、正馬様用地においては計測している気象観測装置、河川流量計、土壌水分計および地下水位計に電話回線を使用してデータを回収・管理するためのテレメータ集中管理システム用の機器を設置した。今回新たに設置した機器は、以下のとおりである。
遠山 茂行*; 若松 尚則; 岡崎 彦哉
JNC TJ7440 2000-018, 55 Pages, 2000/03
核燃料サイクル開発機構(以下、サイクル機構)では、東濃鉱山周辺地域を対象に、地表から地下深部にかけて地下水流動に関する研究を行っている。その研究の一環として、本業務では、正馬様用地内における表層地質のうち、瑞浪層群の水理地質構造および地下水挙動を把握することを目的に、試錐調査および電気検層、多点温度検層、水理試験(岩盤湧水圧測定)を実施し、長期的な地下水位観測が行えるよう、地下水位計および地下水位データのテレメータ集中管理システム用ロガ-の設置を含む観測井戸の設置を行った。試錐調査結果(99MS-05孔;孔口標高221.31m、掘削深度42.8m)から、観測井戸の掘削位置では、G.L.-6.10mまでは砂礫層からなる崖錐堆積物が分布し、その下位に瑞浪層群の明世累層凝灰質砂岩、明世累層基底礫岩、土岐夾炭累層泥岩が分布すること、G.L.-40.9mより深部はマサ状に強風化した土岐花崗岩が分布することが明らかになった。多点温度検層結果によると、G.L.-2930m、-3031m、-33m、-35.5m、-4144m付近に明瞭な地下水の流動が確認された。また、それぞれの地下水流動部における水理試験結果によると、G.L.-33m、-35.5m、-41-44m付近は、静水圧分布を示す地下水流動系であるが、G.L.-29m30m、-3031m付近は、それとは別の地下水流動系であることが明らかになった。これらの結果より、地下水観測井戸のストレーナ設置深度は、瑞浪層群明世累層基底礫岩部であるG.L.-28.8533.4m区間とした。
遠山 茂行*; 若松 尚則; 岡崎 彦哉
JNC TJ7440 99-031, 22 Pages, 1999/09
対象地域の表層部の水理学的環境を把握するため、柄石川上流域の花崗岩および瀬戸層群の分布するエリアを対象として、表層水理観測システムを設置した。観測システムは河川流量計および気象観測装置からなる。河川流量計は1.5フィートと2インチの2つのパーシャルフリュームより構成され、柄石川本流に設置された。気象観測装置は流域北西部の尾根上に設置され、降水量および蒸発散量を把握するための観測装置からなる。
石川 清*; 目崎 吉彦*; 鈴木 英雄*; 甲斐 昌宣*; 渡部 俶*; 藤盛 誠二*; 石川 潤一*
JNC TJ7420 99-016, 878 Pages, 1999/06
岐阜県瑞浪市明世町正馬様用地内において、超深地層研究所計画地点の地質環境を把握することを目的として孔長1,012mのMIU-2号孔が掘削された。本報告書は、地表から地下深部までの地質構造、地球物理学的・水理学的特性を把握するためMIU-2号孔で実施された調査の結果をまとめたものである。実施した主な調査項目は次の通りである。1.岩芯の採取・記載、2.岩芯室内試験、3.物理検層(一般検層項目、フローメータ検層、レーダー法シングルホール測定)4.ボアホールテレビ計測、5.水理試験(非定常透水試験(透水試験)、定常透水試験(揚水試験))これらの調査の結果、以下のことが明らかとなった。・MIU-2号の地質は、孔口から深度88.60mまでが砂岩、凝灰岩、シルト岩などからなる瑞浪層群、深度88.60m孔底までが土岐花崗岩類に属する中粒粗粒の黒雲母花崗岩からなる。土岐花崗岩は深度845.7m付近で岩質的に中粗粒の黒雲母花崗岩と優白質の黒雲花崗岩に大きく2つに分けられ、両者は化学組成上も相違が認められる。・深度223.8m付近に開口亀裂を伴う逸水箇所があり、掘削水はこの区間で全量逸水した。深度889.95915.25m間には月吉断層に相当すると考えられる断層破砕帯が存在する。この断層は、遮水帯を形成し、この断層を貫いた深度950m付近から被圧された湧水が発生した。フローメータ検層結果によると、地層水の流入は深度889m付近より認められるが、特に深度945m以深で多く、深度945984m間で全体流入量の80%近くを占めている。揚水試験時に測定した湧水箇所からの湧水量は16 1/min、圧力は1 .38kg/cm sup2であり、フローメータ検層で求められた22.21/ minの流入量とほぼ一致する。・深度119以深の20ヶ所で実施された透水試験結果によると、花崗岩における透水係数の最大値は深度220.90227.40m間の6.66E-06m/secであり、この区間は掘削中 の 透水帯と対応している。また、深度950m以深の湧水箇所に対応する深度932.50959.00m、960.30966.80m、976.70983.20m間の透水係数も、7.86E-073.66E-06m/secと大きな値を示した。その他の区間は、逸水箇所、湧水箇所の近傍を除けば6.60
佐久間 秀樹; 杉原 弘造; 長谷川 健; 小出 馨; 吉田 英一; 濱 克宏; 戸高 法文
PNC TN7010 97-005, 17 Pages, 1997/08
本計画書は「超深地層研究所地層科学研究基本計画」(PNC TN7070 96-002)および「超深地層研究所 地表からの調査予測研究段階計画(案)」(PNC PN7070 97-001)に基づき、「地表からの調査予測研究段階」の平成9年度の計画を示したものである。平成9年度は第1段階である地表からの調査予測研究段階の第2年度にあたる。地表からの調査予測研究段階では、地質構造、地下水の水理や地球化学などに関する研究が主体となる。この段階では物理探査や試錐調査によって地質構造の概略を把握し、これに基づいて地質構造を簡明に示す地質構造モデル、水理地質構造モデルおよび地下水の地球化学モデルを構築する。これらのモデルは、地下水流動解析や地下施設の設計などの基礎となる。また、取得される膨大な情報を効率よく管理し活用するために不可欠なデータ管理システムなどの構築を行う。これらの研究の結果に基づき、深部地質環境の特徴、地下施設の建設に伴う地下水の流動と水質の変化などを予測すると同時に、予測結果を評価する基準や方法を決定しておく。また、地下施設の詳細設計を行うとともに、この段階に続く坑道の掘削を伴う段階の詳細な研究計画を決定する。地表からの調査予測研究段階の段階目標は、以下の3項目である。(1)地表から地質環境に関するデータを取得し、地下の地質環境の概略を把握し、地下施設の建設が地質環境に与える影響を予測する。(2)上記で行う予測の結果を、坑道の掘削を伴う研究段階に取得される情報との比較により検証するための評価方法を決定する。(3)本段階で取得される情報と予測結果に基づき、地下施設の詳細設計を行い、坑道の掘削を伴う研究段階の計画を決定する。
山井 忠世*; 若松 尚則*; 和知 剛*; 小田川 信哉*
PNC TJ7361 97-006, 121 Pages, 1997/08
対象地域の表層部(瀬戸層群瑞浪層群上部)の水理学的環境を把握するため、ボーリング孔2本を掘削し、地下水位計を設置した。地表より16.6mまでは瀬戸層群の砂礫が分布し、その下は瑞浪層群の砂質シルト岩である。地下水面は瀬戸層群下部のGL-15m付近に1面認められ、基底部の数十cmがやや砂質で鉄の沈着がみられることから、この基底部が瀬戸層群中の主要な帯水層と見ることができる。回復法による透水試験の結果、瀬戸層群の基底部でk=8.810-5cm/sの透水係数が得られた。2本のボーリング孔は、それぞれGL-15.3016.80m(瀬戸層群最下部)とGL-18.0020.00m(瑞浪層群上部)にスクリーンを設けた井戸に仕上げ、圧力センサー式地下水位計を設置した。
久田 司*; 三輪 章*; 平川 清純*
PNC TJ7409 97-003, 95 Pages, 1997/03
本報告書は、動力炉・核燃料開発事業団東濃地科学センターが実施している広域地下水流動調査の一環として、東濃地域における表層地質の分布や構造および表層部における地下水の賦存状態を明らかにすることを目的とし、瑞浪市釜戸町エスポラン地区および日吉町常柄地区において地表踏査、試錐掘削、電気検層および簡易揚水試験を実施し、これらの地区の表層の水理地質構造を調査した成果報告書である。釜戸町エスポラン地区では濃飛流紋岩類の表層風化部を帯水層として地下水が賦存し、日吉町常柄地区では瑞浪層郡明世累層の礫岩および砂岩中に地下水が賦存することが確認された。これらの帯水層について、簡易揚水試験(揚水井単独の揚水試験および水位回復試験)を実施し、帯水層係数(透水量係数、透水係数、貯留係数、比貯留係数)を算出した。その結果、各地区において10-4cm/secのオーダーの透水係数が得られた。また、本調査において用いた手法により、表層の水理地質構造の概略が十分に把握できることが明らかになった。
not registered
PNC TJ1604 97-002, 27 Pages, 1997/03
1)非保存性物質の流動過程を溶存酸素極小層の酸素に注目して、約10万個の標識粒子を時間を逆戻りにして50年間追跡した。各層へ流入してくる海水の、その層の溶存酸素濃度への寄与率を評価する測度を新たに導入した。注目している海域の溶存酸素極小層で酸素を獲得した水は、その層自身の溶存酸素濃度にはほとんど寄与しないで、層外へ出て行くことが分った。入れ替わって入ってくるのは、より上層で酸素を獲得した水である。酸素を獲得してから終着点に到達するのに要する時間は、溶存酸素極小層へ来る粒子が最も長い年数を必要とすることも分った。酸素消費率は、0500m層で0.1ml/l/yrより大きい。また、酸素消費率は、鉛直拡散過程から予想されるような、指数関数的な減少をしていない。2)海水構成の時間変化と滞留時間を調べた。北極海、南極海などの小海域では、10年位で一度流出した海水が再び戻ってくる。各層起源の水のその層への残留量の時間変化から滞留時間を評価した。この残留量の時間変化は、必ずしも指数関数的な変化ではないが、e-folding timeとして評価した"平均年令"は、表層で1030年、中層で30120年、深層で60300年である。海水が入れ替わるには、さらに長い時間が必要で、例えば残留量が初期の体積の10%に減少するには、表層で40140年、中層で70600年、深層で1301600年が必要である。3)等密度面混合を考慮した定常流動場を診断的に求めた。流速ベクトル場でみると、従来の流速場と著しく変った所は無いように見える。流速場の信頼度をSarmient and Bryan(1982)の2つの測度を用いて検討したが、スキームの異なる2つのモデルの信頼度の評価にはGamma ratio I2は適切ではないことが分った。粒子群の鉛直変位は明らかに差が現われている。等密度面が大きく傾いている高緯度海域では、より現実的な流動状況になっているだけではなく、赤道海域でも有意な変化が現われている。4)平成4年度8年度の研究成果のまとめ(別冊)を行った。*本報告書は、京都大学大学院理学研究科地球物理学教室が動力炉・核燃料開発事業団の委託により実施した研究の成果である。
山井 忠世*; 若松 尚則*; 中島 誠*; 小汐 真由美*; 高遠 俊一*
PNC TJ7361 97-003, 188 Pages, 1997/02
不凍液のテンシオメーターへの使用により観測結果への影響を把握するため、脱気水と不凍液をそれぞれ使用したテンシオメーターによる土壌水分の比較観測をDU3B地点において行った。その結果、不凍液の使用によるテンシオメーターの観測結果への影響として、以下のことが把握された。(1)テンシオメーター内の溶液に不凍液を使用した場合、少なくともpFO2.06(飽和圧力水頭=115cmH2O)の範囲の土壌水分を測定することが可能であった。(2)不凍液を使用したテンシオメーターの圧力水頭測定値(PG)と脱気水を使用したテンシオメーターの圧力水頭測定値(w)の関係は1次回帰式で表すことが可能であり、PGに乗じる係数は1.031.13であった。この係数は、深度が大きいほうが大きくなく傾向にあった。(3)テンシオメーター内の不凍液には、98日間で約1417%あるいは69日間で約8%の濃度低下が見られた。テンシオメーター上部における不凍液の濃度が下部に比べて最大で約20%低くなる傾向が確認された。(4)土壌水分フラックスを算定した結果、不凍液の使用により圧力水頭測定値に最大で約10%の影響が現れた場合においても、土壌水分フラックスの算定値に及ぼす影響がほとんどなかった。
山井 忠世*; 若松 尚則*; 小林 公一*; 中島 誠*
PNC TJ7361 97-001, 271 Pages, 1997/01
東濃鉱山周辺の表層水理観測システムを検討した。表層水理観測の目的を涵養量の時間空間分布の把握と位置づけ、そのためのフルスペックのシステム構成の検討と流域の選定を行った。システムは、降水量・蒸発散量・流出量・地下水貯留量を得るための気象・流量・地下水頭・土壌水分の各観測システムから構成される。対象流域は、観測目的によって、大流域(ある程度の広がりをもった領域での平均的な水収支の把握を目的とする)、モデル小流域(涵養メカニズムの把握を目的とした詳細な観測を行う)、その他の小流域(特定の地形・地質条件の流域での涵養特性を把握することを目的とする)の3タイプを考え、それぞれ6流域、2流域、4流域を選定した。
高橋 知之
KURRI-KR-18, p.213 - 220, 1997/00
環境汚染データの解析を行うことにより、原子力施設の安全評価に用いる環境影響評価モデル及びパラメータの妥当性検証を実施するとの観点から、ウクライナ国CHeSCIRとの協力研究を継続して実施している。本報では、チェルノブイル原子力発電所近傍において1993年及び1994年に測定された表層土壌中放射性核種濃度モニタリングデータを用い、放射性核種の分布と動態に関する解析を実施した結果を報告する。1-コンパートメントモデルを用いて、表層土壌から深部土壌への核種移行係数の解析を行った結果、核種移行係数は3核種で明確に異なり、Srが最も大きく、次いで+Pu,Csの順となること等が明らかとなった。
天野 光; 渡辺 美紀*; 小沼 義一*; 上野 隆; 松永 武; N.D.Kuchma*
The Role of Humic Substances in the Ecosystems and in Environmental Protection, 0, p.709 - 716, 1997/00
表層土壌天然有機物質中におけるCs、Sr及び超ウラン元素の存在形態を、化学的分画手法を用いて、チェルノブイル周辺の草原及び森林土壌について調べた。チェルノブイル周辺環境では放射性核種は、表層土壌天然有機物中に多く存在している。草原土壌ではPuはフルボ酸よりフミン酸画分に多くみられたが、Amはフルボ酸とフミン酸画分では同程度であった。SrやCsはこれらの画分にはほとんど存在していない。森林土壌では表層有機物の腐植の進んだ順に、AoL、AoF、AoH層についてPu、Am、及びCsについて調べた。その結果核種の存在割合は層によって変化し、腐植が進むにつれPuでは主に非晶質鉄酸化物画分と結合型フルボ酸画分に、Amでは粘土鉱物画分と結合型フルボ酸画分に多く存在する。Csは腐植が進むにつれヒューミンの画分が減少し、粘土鉱物画分が増加することが分かった。またCsではホットパーティクルの画分も依然多く存在していることも判明した。核種の移動性との関連についても論ずる。
今里 哲久*
PNC TJ1604 96-003, 26 Pages, 1996/03
本調査の目的は、海洋での広域拡散に関する計算コードの整備を行うことにある。その一環として、広域拡散の要となる広域海洋の表層、中層、深層を含む海洋の流動評価について、平成4年度から評価方法の調査研究を開始し、地球規模の基本的な流動状況の把握を行ってきた。上記目的達成のために、本年度は以下の調査を実施し、計算コードの整備を行った。(1)広域海洋に隣接する比較的狭い海域の例として日本海の流動評価方法に関する調査日本海について流動評価方法の調査を継続して行い、その流動評価方法を用いて試算した流動状況を観測値等を参考として検討した。さらに、計算上の問題点及び今後の課題に関する事項について検討した。これらの結果についてのとりまとめを行った。(2)季節条件を加味した広域海洋の流動評価試算結果の検討と調査水温・塩分・海上風を季節変化させて広域海洋の流動状況を試算し、各海流系の流量の季節変動状況について検討した。さらに、季節変動の大きい熱帯赤道海域と中緯度海域との間のラグランジュ流量の季節変動について検討を行った。これらの結果についてのとりまとめを行った。(3)日本近海を出発点とした水塊の流動状況の検討に関する調査トカラ海峡で放出された水塊の季節変動をする流動場中の移動状況が、放出される時期によってどのような影響を受けるのかを試算し、結果についての検討を行った。これらの結果についてのとりまとめを行った。
not registered
PNC TJ1600 96-004, 78 Pages, 1996/03
表層土壌圏における核種動態等をより正確に理解するために、まず土壌を構成する粘土鉱物の構造を理解し、土壌圏における核種動態の媒体である水の熱力学的性質を明らかにした。土壌鉱物としてナトリウムモンモリロナイトを対象とし、この中での水の相対部分モルギブス自由エネルギー、エンタルピーおよびエントロピーを含水率の関数として決定し、X線回折の結果と合わせて、土壌中の水の存在形態を決定した。土壌中の水の存在形態は土壌の含水率に依存して変化した。モンモリロナイトにおいては、層間の1層の水和は0ないし16重量%の含水率の範囲で起こり、2層の水和は16ないし27重量%の範囲で、また3層の水和は27重量%以上の含水率で起こった。間隙水は第3の領域にのみ共存した。次に、表層土壌圏に普遍的に存在する天然有機物のフミン酸がストロンチウムの分配に与える影響を検討した。Srのフミン酸錯体がSrHAとSr(HA)2であることを実験によって特定し、それらの安定度定数と熱力学関数を決定し、その結果を基に錯形成の機構を考察した。また、カオリナイトに対するストロンチウムの分配に対するフミン酸の影響を検討した。カオリナイトに対するストロンチウムの分配に対してフミン酸の影響は40ppm以上のフミン酸濃度で見出され、40ppm以上ではフミン酸濃度が高くなるほどSrの分配係数が低下した。また、この影響はpHが高くなるほど顕著であった。最後に、土壌圏における放射性核種の移行挙動の評価のための基礎研究の一環として、圧密ナトリウムモンモリロナイト中のナトリウム、セシウムおよびストロンチウムの見かけの拡散係数とその活性化エネルギーを決定した。
鎌田 博文*; 三森 武男; 立岩 正明*; 杉本 賢司*
レーザー研究, 24(2), p.30 - 38, 1996/02
日本原子力研究所・東海研究所の再処理特別研究棟の建屋を解体するためには、放射性物質によって汚染されたコンクリート表層を安全に効率良くはく離する必要がある。しかし、従来の機械的研磨や研削工法等による除去作業では、汚染されたコンクリートの粉塵が飛散する、等いくつかの課題がある。そこで、本研究では、COレーザーを用いて、コンクリート表面にレーザー照射することにより、1)表層を高熱で溶融させて層状にガラス化し、二次的に汚染物質を含有したガラス層を除去すること、あるいは、2)コンクリートの含有水分を瞬時に高温膨張させ爆裂破砕させること、により再処理特別研究棟の汚染されたコンクリート表層を安全、かつ合理的にはく離できる研究を行った。